ソール・ライター
雨粒のガラスに黒い人影、黄色い車も走っているようだ。薄紅色の傘の向こう、水びたしの道路だろうか。一瞬きったシャッターは絵筆、写真が絵画になっている。ニューヨーク5番街、住む町の日常をさりげなく撮り続けた写真家、その人の名はソール・ライターという。
展覧会名は「永遠のソール・ライター」。加えて~ニューヨークが生んだ伝説の写真家~と、副題をつける。2017年、東京渋谷で初めて展覧会開催、7万人の人を集めた。写真集は16刷を超えた。去年、同じ渋谷でアンコール開催して、コロナ禍でニューヨークに戻れず、京都伊勢丹へ巡回開催している。コロナチャンス、世界で評判の作品を見に行った。
画家から写真家へ、ファッション写真で名を成すも、注文されるのを嫌がり、53歳でスタジオを閉じた。姿を消し30年、83歳で写真集が出て、再び脚光を浴び、没後の今も尚である。若い鑑賞者が多い。独自のアングル、カラー写真のパイオニアと言われる作品が並ぶ。ライターは「見るものすべて写真、人間の背中は正面より多くを語る」という。ソールは韓国でなく、ライターは作家でない。永遠の写真家、それが、ソール・ライターである。
※ ソール・ライター(1923-2013)米ピッツバーグ生まれ、23歳からニューヨークで暮らす。ライター財団設立、8万点余の写真整理中。京都伊勢丹展は3月28日まで。 ※ ライターの半生を描く映画「急がない人生で見つけた13のこと」。京都シネマで11日まで上映。
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