人間国宝「黒田辰秋」展
木工芸の人間国宝、黒田辰秋さんは言う。「木が何になりたいか、木にたずねるんや」と。テーブルか、椅子か、水指か、茶器か~、欅にしても、楢にしても、それぞれの木に問いかけるという。生誕120年展、NHK日曜美術館の映像を見て、京近美の会場へ行った。
展覧会は去年の暮れから始まっていた。黒田さん、明治の時代に京都・八坂神社の近くで生まれ、昭和に木工芸では日本で初めての人間国宝に。京都では四条、葛切りの鍵善良房の飾り函、百万遍、カフェ進々堂のテーブルなど、今に生きる作品は知っている。その黒田さん、集大成の203点もの大規模展だ。行こう行こう~と思っているうち、先にNHK日曜美術館で取り上げた。
鑑賞は、TV見て翌日だった。副題は「木と漆と螺鈿の旅」。展示作品は個人蔵含め、全国から集めている。映画監督黒沢明さんが御殿場の別荘に発注した別称、欅づくりの「王様の椅子」がある。陶芸家・河井寛次郎宅にある「春夏秋冬」文字いり状差しもある。メキシコ鮑でつくった螺鈿の箱が眩しい。会場、どれもこれも存在感がある。日曜美術館、黒田さんの言葉を思い出した。「最も美しい線は一度しか訪れない。削り足りなくてもだめ。削り過ぎもだめ」。
※ 黒田辰秋(1904-1982)、展覧会は3月2日まで。愛知の豊田市美術館へ巡回する。 ※ 写真一部、NHK日曜美術館画面から。
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