新聞印刷工場跡の報道写真展
朝日の天声人語が「京都新聞を訪ねた」と書き出している。師走22日付けの日曜朝刊だ。何だろうと読む。「うす暗い階段を地下へおりる。現れたのは巨大な空間である。40年にわたって朝夕刊を刷り続けた印刷工場の跡。……ここで世界報道写真展が開かれている」。
輪転機が回らくなった新聞の印刷工場跡、報道写真を紹介する記事だ。日本で3年ぶりの開催という。オランダに本部がある世界報道写真財団と京都新聞が主催、130か国から応募の作品中、地球温暖化で海面上昇の島・フィジー、パレスチナ戦争・ガザの一場面など入賞作32点を展示している。輪転機が稼働の頃の勤め先、久々に行って、翌日の記事だった。
印刷工場跡、今さらながらだが、広い。どこかインクの匂いがする。天声人語に書かれているとおりうす暗い。ひと頃、一日朝刊50万部、夕刊30万部、瞬時に印刷する巨大な高速輪転機が何台もあった場所。写真展示の壁面前、まだ新聞になっていない刷った状態のロール紙が波の如く並んでいる。床はパルプの巻紙が自動で移動するレールそのまま。端まで100㍍、ビル3階分の吹き抜け…世界の報道写真、その一瞬を甦らせるに実にふさわしい。
※ 世界報道写真展は12月29日まで。入場無料。 ※ 京都新聞本社は来年、建て替えへ。印刷工場跡も姿を消す。
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コメント
高速回転する大型輪転機のうなり声、巨大なトイレットペーパーのようなロール紙を移動させるレーンなど新聞を印刷する工場跡のすべてが懐かしくよみがえります。
鉛の活字の活版時代からコールドタイプ~そして光ファイバーへと変遷した印刷の歴史の一部始終を見てきた工場跡。かつての我が社でも阪神大震災を機に新聞製作部門を郊外に移転。本社の中に今はその工場跡はない。新聞製作の最終関門を4年やった経験もあって輪転棟が目に焼き付いている。
幅9m、ビル3階分、長さ40mの輪転機が縦並びに2機。高速回転する輪転職場こそ、心躍る新聞社そのものの姿だったように思う。
投稿: s.hidaka | 2024年12月26日 (木) 14時15分