「シロテ・テナガザル」の木渡り
ひょいひょいと、右から左へ、左から右へ…。後ろ向きからクルリと前へ向きを変えたり…。檻の中の木渡り、まるで公園の雲梯(うんてい)だ。手が白く、なんとも、長い。「シロテ・テナガザル」。テが二つ続く「白手・手長猿」。手の長さ、身体の1.5倍だそうだ。
蹴上から岡﨑へ、通り抜けする京都市動物園。いつも檻の奥に引っ込んで、そう見ないシロテテナガザルがいた。名前は「シロマティ」。相方、毛の黒い「クロマティ」が2月に他界して、だいぶ経ち、やっと元気が出て来たようだ。通り抜け暫く忘れて、その軽やかな動き、長い手に見ながら、南禅寺の塔頭、金地院前の案内看板、重文襖絵の猿を思い出した。
小堀遠州作の「八ツ窓茶席」に長谷川等伯が描いた「猿候捉月図」(えんこうそくげつず)の猿だ。木にぶら下がる猿が、池に映った月を捕まえようとしている。このお猿さん、手が長い。地下鉄蹴上駅降り、動物園への道筋、案内看板よく出あい、何年か前、本物の絵を見ている。等伯のモデルでないにしてもよく似ている。動物園のシロマティ君はオスの40歳。だいぶお年で後期高齢に入っているようだが、木渡りはさすがにうまい。何度見ても手が長い。
※ シロテテナガザルは中国、東南アジアの熱帯雨林に生息。いま、エサ不足、ペット化など絶滅危惧種に。寿命は野生で40年、飼育で50年。
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