歯槽膿漏の男と一汁三菜
「食事」を「たべごと」と読ます。日本の食事は四季折々、うまし、うるわしという。本膳料理、精進料理、懐石料理…料理の歴史を貴重な美術工芸品で見せる。陶芸の里、信楽のMIHOミュージアムでの展覧会。京都駅八条口から内覧会特別仕立てのバスが出て行った。
茶懐石など食文化に詳しいMIHOの熊倉功館長、思い入れの展覧会。挨拶で京都を中心にした食文化がユネスコ登録になった11年前からやってみたかったと。何をどう展示しているのか~と会場回ると~である。海の幸と山の幸を描いた硯箱、神様に捧げる上賀茂神社の唐櫃、神饌、高杯、乾山の絵皿、北大路廬山人の椿鉢、江戸の酒宴図、良寛詩の屏風…。
「たべごと」に絡む美術工芸品が並んで、京博所蔵の国宝が1点出ている。病草子の一枚「歯槽膿漏の男」だ。食事中の男が口を大きく開けて~この奥の歯が痛いんじゃ~と女房に見せている。平安時代後期、1千年前の絵巻き。男の前には食べかけの食膳が置かれ、大盛のご飯、汁椀、小皿が描かれている。展示解説は、歯痛も辛いだろうが、この献立こそ庶民の「一汁三菜」であり、和食の原点~と。今に続く先人の食事「たべごと」、見所が多い。
※ 展覧会は12月15日まで。
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