京都綾部に「幻の画家」
どういうのだろう。なにがいいと言って、絵をみていると動けなくなるし、出ている文章というか言葉はなんども反芻したくなる。画家紹介の新聞見出しは「ジャコメッティに認められ、作品売らず、金も名誉も興味なし」。そんな絵描き屋さんが京都の綾部にいたのだ。
綾部出身か、縁のある知人から、何枚も案内が届いた。京都市京セラ美術館で開催、没後40年有道佐一回顧展である。戦前、関西画壇の鹿子木孟郎画伯に師事、渡欧したパリで写生中、その作品で彫刻家ジャコメッティを驚かせ、帰国して洋画家小磯良平の誘いを断り、綾部に戻って生涯、ふるさとの山や川や、草花を魂こめて描き続けた「幻の画家」だという。
ご遺族所蔵の作品140点。展示会場は春夏秋冬と風景画が並ぶ。これほどまでと思う精緻な点描画。「描いている山が、わたくしにもっと来い、もっと来い~とひきずっていくのです」の言葉がある。虫の淡墨画に添えられた一句。「虫きいておのれも虫になりにけり」。山を描けば、自ら山になり、紅葉描けば、自ら紅葉になり~なのだ。大自然に身を任せば、生もよく死も亦なつかし~が根本愛という。感動、あれもこれも~の展覧会だった。
※ 有道佐一(1891-1983)※ 展覧会は8月18日で終了。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 植物園、花の色いろいろ(2025.04.21)
- あのプーさん、あのスニーカー(2025.04.20)
コメント