「しっぽくの美学」
いまや、京都ならではの「しっぽく」、ご存知だろうか。読めない、書けない~長崎名物「卓袱料理」の「しっぽく」に由来するという。長崎では、大皿の種々盛り付けから小皿に取り分ける志那料理も、京都へ来て、どこで変わったか、うどん、時にそばである。
河原町の丸善で買った文庫本「京都食堂探究」。第1章のきつねうどんに続いて第2章は「しっぽくの美学」。本を読んで、その「しっぽく」がどう美しいのか、歩きの流れで、食べ歩いた。山科駅前の千成餅食堂、岡崎二条の食事処・相生、清水道の力餅食堂、それに正面通りの「まつ山」…。本は、しっぽくのスケッチ、絵解きまでしている。原則、具は4種類以上という。
絵解きは、真ん中にしいたけ、回りにカマボコ、海苔、ほうれん草、ネギ、板麩、ゆば、ひとかけの柚子だ。本は上置きとあるが、まあ、上乗せだ。具の選択、乗せ方、そこに美があるという。歩き4日間で4店舗へ行って、比べてみた。大体似ていたが、カマボコの多かったのは力餅さん、5つあった。本に近かったのは千成餅さん。しいたけが真ん中に浮かんで、ここだけが柚子ひとかけ。その柚子の黄色が効いて、たしかに美しい。「しっぽくの美学」ー奥が深い。
※ 値段は千成餅550円から力餅食堂900円まで差あり。
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コメント
「しっぽくの美学」探訪、興味深く拝読いたしました。…肉厚でだしのしみた椎茸にほうれん草、そして、この並びで食べるとかまぼこが妙に贅沢な一品に感じられますよね。極めつけは1枚の海苔でしょうか。普段は脇役の地味な食材たちが、素うどんに乗せられて輝きを放ちます。肉うどんや天ぷらそばには太刀打ちできない、「清貧の美学」といったところでしょうか?
投稿: 小松谷千絵 | 2024年5月 6日 (月) 10時03分