「仮睡」~私は誰でしょう!
着物姿のまま、頭を文机に傾けて、眠っている女性は誰なのだろう。花鳥画の文化勲章作家、上村松篁さんが、画学生の終わり、卒業制作で描いた一枚である。題名は「仮睡」。仕事疲れのひと休み、うたたねか。大正10年(1921)、おおかた100年以上前の作品だ。
京都市立芸大移転記念の特別展のひとつ。「美工、絵専時代の上村松篁~若き日の異色作をめぐって」と題している。昨年10月、市立芸大は洛西からJR京都駅から東へ歩いて5分の所へ越してきた。陸橋、いつも長い列の人気ラーメン店の向かい。まあ、歩きコース、学内展があるなら、すぐ行ける。松篁さん展はC棟6階のアートスペース、EVで上がった。
ガラスケースの中、松篁さん卒業時の「春立つ頃」など、既にして花鳥画の絵才溢れる作品とともに松篁さんには珍しい人物画「仮睡」だ。描かれた女性は誰~とクイズのような問いかけが出ている。女性初の文化勲章作家で、松篁さんの母、松園さん47歳ころか、それとも画学校のモデルさんか。口元、目鼻立ち、松園さんに似ているとも言われるが、100年も前、資料はないという。「私は誰でしょう?」のなぞ解きもまた、芸大の課題のようだ。
※ 上村松篁(1902-2001)。 ※ 市芸大移転記念展はC棟1階、芸術資料館で4期に分け、来年2月まで開催。松篁さん作品展はその関連で6月2日まで。
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コメント
気品あふれる美人画の母松園さん~松篁さん~息子淳之さん。親子三代で日本芸術院会員の日本画家。いずれも京都市立芸大で学んだ京都市生まれ。知りませんせんでした。大発見です。
江戸時代中期の京都が生んだ三大絵師・伊藤若冲、丸山応挙、長沢芦雪の存在を想像します。
投稿: s.hidaka | 2024年4月16日 (火) 09時00分