「木のきもの」
和服を着続けた小説家の幸田文さんは、木を見るのが好きで、木のエッセイをたくさん書いている。その一つに「木のきもの」がある。杉のきものはたて縞、松は亀甲くずし、ひめしゃらは無地~と書く。書店でその復刻版の幸田本を見つけ、本持参で、京都御苑へ行った。
幸田エッセイの現場検証だ。御苑内には5万本の樹木、種類も多い。御苑東南の寺町門から入って、すぐイチョウだ。幸田さんはイチョウのきものは「いぼ立っている」という。いぼ?って、何かと調べて、しわのようだ。巨樹になると大きな縦のしぼが出来るという。イチョウ、目の高さで、どうかなと、その樹皮を見たら、確かにしぼ立ちのしわだった。
木のエッセイ15編をまとめた「木」という幸田本。役所広司さん主役のアカデミー賞候補作品「PERFECT・DAYS」の中で登場する。公衆トイレの清掃マン・役所さんが仕事を終え、読んでいるのが幸田さんの「木」。それが話題になっての復刻だった。人それぞれに履歴書、それは木にも~という。幹の色、木の肌で、木のきものがわかるという。御苑の中、皮が浮き出たの、剝げ落ちたの、ツルツルの~、木の樹皮きもの、どれもこれも、きどっていた?。
※ 幸田文(1904-1990)幸田露伴の次女。父追憶の作品など多く「黒い裾」で読売文学賞などあり。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- 落語と美術の展覧会(2025.04.27)
- グッドな「2025」ポスター(2025.04.26)
コメント
映画 PERFECT DAYSで古本屋の女店主が「幸田文はもっと評価されるべきよ 同じ言葉を使っているのにこうも違うものかしらね」とつぶやくシーンが印象に残り『木』を読みました。気のせいか、樹木をよく観察するようになったような…。本を読む歓びを教えてくれる一冊でした。
投稿: 小松谷千絵 | 2024年3月14日 (木) 09時10分