マティス「鏡の前の青いドレス」
展示されている絵には、その絵の運命というか、宿命のようなものがあるのだろうか。パリの画家、アンリ・マティスの「鏡の前の青いドレス」。京都近美が所蔵して、40年にもなる。マチス32歳、パリで描いて80年以上、どうして京近美に来ているのだろう。
作品は金髪のロシア人モデル、リディア・デレクトルスカヤさん。緑、青、赤の色がそのまま、線も単純に引いて描いている。色を塗り重ねたり、線で奥行きを出したり~というのではない。これ、油彩かと思わす。色彩と線の魔術師と言われたマティス、初期の代表作だろうか。いま、京近美コレクション展の西洋近大美術作品選で展示、写真の撮影が出来た。
京近美へ来るまで、絵の来歴が出ていた。マティスが描いた翌年、パリの画廊で個展、ナチス侵攻があり、画廊がユダヤ系で没収、ドイツ人画商へ渡り、オランダ絵画と等価交換で再びパリへ。戦後さらに画廊を転々として、1978年に米国の著名美術コレクターから京近美へという。その経過、まさに流れ流れて~である。絵の横に年代記入。パリ個展1938年、京近美所蔵1978年。この間の40年間が作品流転。いま、ここが安住の地のようだ。
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