「ザムザ氏の散歩」
ぷつぷつ、輪っかに小さな突起がある。足が小さくちょこんと出ている。前衛陶芸の始まり、記念碑的な「ザムザ氏の散歩」という。陶芸のオブジェ焼き。自らを茶わんやという陶芸家・八木一夫氏が制作した。直径27㌢のザムザ氏とは何者か、どこをどう散歩するのか。
戦後、八木さんらが立ち上げた前衛陶芸「走泥社」。京近美開館60周年記念展で、これが陶器か?という作品が並んだ。八木さんはじめ、鈴木治さん、山田光さんら京都清水、五条坂の若い陶芸家がつくった団体とその作品。その一つ、これは見なければ~で、「ザムザ氏の散歩」。京近美が2千4百万円で買い上げて、ガラスケースの中、写真撮影が可だった。
仏の小説家カフカの「変身」。主人公ザムザは、ある日、突然、虫になる。それに着想した八木さん、日々の茶わんづくりから変わった。昭和29年、八木さん36歳のとき、東京の個展で披露して、注目を浴びた。既存からの脱却、ピカソ、イサムノグチなどの影響もあるという。展覧会を企画した京近美の大長智広・主任研究員は「ろくろで器でないものをつくったことが一番のポイント」と。ザムザ氏、ろくろの足でトコトコ、ろこを歩くのか?。
※ 八木一夫(1918-1974)京都五条坂生まれ。父、八木一艸氏、長男明氏、ともに陶芸家。昭和20年(1945)に鈴木氏ら5人で走泥社結成。 ※ 京近美「走泥社再考」展は24日まで。
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