「路傍の石」
作家、山本有三と言えば、代表作「路傍の石」を思い出す。戦前から戦後へ11年余り、三鷹市で暮らした作家は、ここで鉄橋ぶら下り、丁稚奉公、艱難辛苦の吾一少年を書き綴った。三鷹を歩いて、その題名になったホンモノの石、「路傍の石」とぐうぜん、出会った。
玉川上水に沿う風の散歩道。三鷹駅南口から井の頭公園へ行く途中、4、5分歩いたあたり。格好いい洋風の建物、それが山本有三記念館だった。昭和11年から戦後、進駐軍に接収されるまで、家族と共に住み、執筆活動の家。三鷹市が観光コースの一つにして、写真、遺品、著作とともに公開、企画展なども開催している。開館は9時半、まだ開いていない。
記念館入り口の前、小説記念の「路傍の石」。大きくずっしり重そう。どうしてここに?、謂れが書かれていた。朝日新聞に連載中、散歩に出かけ、中野旧陸軍電信隊付近の道端でみつけ、小説ご縁と思って、裏庭に運びこんだ石。三鷹市が記念館開設で、表に移設という。井の頭公園散策したあと、入館料300円で入った。暖炉ある館内を見て、帰りに受付で販売の文庫本の「路傍の石」千円で買い読んだ。吾一少年、苦難の石を蹴飛ばし、蹴とばし、人生を乗り越えていた。
※ 山本有三(1887-1974)栃木県生まれ。本名は勇造。東大卒、劇作家。衆院議員、文化勲章受賞。「波」「坂崎出羽守」など著作多数。
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