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2022年12月 2日 (金)

岸田劉生「S氏の肖像」のS氏?

Img_2957_20221129073401 Img_3071 Img_2958 Img_2960 Img_3073 Img_3072 本を読んでいて、展覧会で見た絵が文中に出て来た。これも出会いの一つ、確認兼ねて、また絵を見に行った。絵は大正・昭和の洋画家・岸田劉生が描いた「S氏の肖像」。本は「父・岸田劉生」。幼い頃から麗子像で何度もモデルになった岸田劉生の娘、麗子さん著作である。

 

 「S氏の肖像」は劉生25歳、大正3年に描いている。いま、京都近美が所蔵するコレクション展、麗子像の木版「童女と菊花」と並んで展示されている。何となく見ていて、S氏って誰かなあ~だったが、百万遍・知恩寺の古本市で3冊500円で買った一冊、麗子さん著作の文庫本で登場だった。S氏は劉生最初のパトロン、芝川照吉氏。麗子さんが詳しく書いていた。

 

 代々木に住んでいたころ、芝川さんが訪ねてきて、肖像画を依頼されたという。「出来た絵は毛皮の襟の付いた外套を着て、帽子をかぶった肖像で、芝川さん大変気に入り、絵の代金として30円置かれた」と。貧乏だった劉生は大喜び、30円ぜんぶ使い絵具と筆を買った~と書く。この項を読み、あの絵のS氏に違いないと、もう一度、岡崎の京近美へ見に行った。麗子さん記述通り、毛皮の襟、外套、帽子…、S氏の謎が解けて、どこか嬉しかった。

 

 ※ 岸田劉生(1891-1929) ※ 岸田麗子著「父・岸田劉生」は昭和62年10月中公文庫発行。本カバー絵は「麗子5歳の像」。麗子さん、家族写真は文庫の

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