東福寺のイブキ
どうも、ちょっとや、そっとの古樹ではなさそうだ。東福寺境内、国宝の三門と仏殿の間にあるイブキである。東福寺開山の聖一国師が中国宋から持ち帰ったというから樹齢はどれほどになるだろう。宋の時代、そうだとすれば?、13世紀頃で、700年にはなる。
説明板によると、昭和63年に京都市の天然記念物になっている。高さは16・5㍍あって、幹回り3・36㍍、枝張りは東西10・5㍍、南北で8㍍という巨木だ。江戸時代に発行の都名所図絵に唐木として載っていて、既にして古樹として知られていたという。庭師重森三玲氏の石庭を方丈で見て、出てから広い境内を歩いて、初めての出会いだった。
植え込みの中、円形に石を置いて、囲ってある。佇み、一人静かに見上げた。イブキはヒノキ科ビャクシン属の常緑高木で、葉の付いた枝はすべて上に伸び、全体として炎のような枝ぶりになるという。明治年間に焼失、再建した仏殿に上がって、俯瞰的に見たらイブキの巨木は確かに炎の如くだ。東大寺の東、興福寺の福、それぞれ一字とり、鎌倉時代に19年の歳月をかけて建てた臨済宗大本山東福寺である。その息吹、炎のイブキに見た。
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