トロみたないイワシ
大体20㌢以上の、大きなイワシを大羽イワシと言うそうだ。流し網に4月頃から掛り、脂がよくのっているという。大羽イワシ、大津市菱屋町商店街の海鮮市場「摩季詩」のトロ箱にいた。氷浸け、背びれ艶々している。<お造りできます>と書いてあり、即頼んだ。
店主は見知った中村千代子さん(51)だ。仕入れて、さばいて、この道10年以上という。調理台の横、デジカメ構えて、イワシが造りになる様子を見た。頭がなくなった。首から真横へ包丁が入る。中村さん、左手を添え、ゆっくり、ゆっくりだ。手首に数珠2つ、殺生への仏心?、ファッション?。親指には絆創膏?。そんなことイワシないな!か。
この洒落、なぜか出て来る。癖になっている。身が半分になって、包丁が毛抜きに変わった。丁寧に小骨をとる。仕上げは皮を剥がして、片身を3枚におろし、皿盛りだ。鮮やかなさばきぶりだ。手元が狂っては―と話しかけず、何もイワシないように見ていたが、中村さんが喋った。~脂がトロみたいで、こんなイワシ初めてです。お客さん、2度も3度も来ます~と。テーブルで、1切れ、2切れ…、舌にトロっと、もう何もイワシないな。
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