京焼きの名工は鬼
ハハハ、ハハハ…と鬼が高笑いしている。羽織を着て、胡坐をかいて、太鼓腹を突き出した赤鬼だ。どこでどう掠めたのか、目の前はお宝の山である。赤いサンゴ、打出の小槌、金貨銀貨の袋…、よほど嬉しいのか、喉元まで見せて、喜んでいる。
昭和の名工、故村田陶苑さんの陶彫だ。京焼の手びねりでは、これだけの作家はもう出ないのでは…と言われ、6年前に97歳で亡くなった。作品は「喜悦鬼」(きえつおに)で、90歳のおりの制作という。幅57㌢、奥行き36㌢、高さ29㌢だ。鬼大将、酒鬼、相撲鬼など一連の鬼シリーズの中でも大きく、それでいて、繊細で、会心作だ。
この作品、清水焼団地の第34回陶器祭りで見た。団地の外れ、洛中洛外ギャラリー。著名作家の作品陳列コーナーにあった。各作家の作品、3万~15万の値札がついているが、村田陶苑さんの作品にはない。係りの人にあの鬼は?とそっと聞くと、小声で「400万円以上でしょう」と。桁外れの価値があり、値段をつけるのも論外なのだろう。鬼の隣は鯛、その隣は寒山拾得…、陶苑さんの手びねり陶器、トキトキして見入った。
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