国立劇場のガラス獅子
あった。白獅子だ。三宅坂の国立劇場、公演のない平日の朝である。ガラス越しに見えるーと聞いたので、ロビー展示の木彫家・平櫛田中が20年かけた大作、鏡獅子を見に行った。外光がガラスに反射するので、頭をつけて、覗きこんで、やっと見つけた。
平櫛の故郷、岡山県井原市の田中美術館で、試作を見た時から、行こうと決めていた。歌舞伎座へ25日間通ったこと、6代目菊五郎の裸形を模ったこと、国の2億円の買い上げを断って、永久貸し出しにしたこと、100歳になって「男盛りはこれから」と、30年分の材料を買い込んだこと…、108歳で逝ったそんな田中の精を感じたかった。
赤い提灯の下がった大劇場の正面、行ったりきたりした。デジカメ構え、何度も中を窺って…、幸い尋問はなかった。前日、電話でロビー展示の作品を見たい―とお願いしたが、公演の時、チケット購入でないとーという。東京行、予定もあって、観賞はその日しかなく、ガラス越しになった。獅子はロビーの奥の奥、それもガラスケースの中だ。手を翳し、ガラスの外反射を抑え、頭をこすり続けた。それ何回?ハイ、16回でした。???
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